糖化ストレスは老化を促進する危険因子の一つです。2型糖尿病は糖化ストレスが強い生活習慣病の代表です。その他にも近年その罹患率が増えているメタボリックシンドローム、脂質異常症、肥満、アルコール依存症の糖化ストレスが強い状態です。この状態を放置すると老化に伴う様々な退行性変化や疾病の原因になります。
糖化ストレス研究の基盤となる研究領域が広いため、研究者は増加しているものの、それぞれがバラバラに研究を進めている状況になっています。糖化ストレス研究会はこのような糖化ストレス研究の情報交換、情報発信の場としたいと考えています。
医学的エビデンスは一夜にして得られるわけではありません。これまで培ってきた1例1例の臨床例の検討から始まり、少人数のパイロット試験、色々な施設からの情報収集、臨床試験、大規模スタディーという具合に積み上げられてゆくものです。ちりも積もれば山となる。その通りです。例えれば、山のようなもの、それも最も高く、美しい山、富士山であるべきでしょう。
私は2013年まで日本抗加齢医学会が発行する学術誌「Anti-Aging Medicine」の編集委員長を務めてきました。本誌の方針は、裾野に相当する基礎的なデータをきちんと英文論文化して公表することでした。WEB版では日本語翻訳版も適宜提供できる、極めてユニークな学術誌でした。そして2014年に二つの学術誌に生まれ変わりました。一つは「Glycative Stress Research」、こちらは糖化ストレス研究会の公式雑誌で、「Anti-Aging Medicine」の精神を引き継いでおり、私が編集委員長を務めます。評価法・測定法に関する基礎研究、症例研究、パイロット研究から二重盲検試験まで、だいたい富士山7合目まで面倒みます。
さあ、糖化ストレス研究会と学術誌「Glycative Stress Research」とエビデンスの受け皿が揃いました。たとえ小さなデータでもそれはみんなの宝物です。きちんと形に残して積み上げて、世界から信頼される、愛されるエビデンスを皆の力で作りあげましょう。
同志社大学大学院生命医科学研究科
アンチエイジングリサーチセンター
糖化ストレス研究センター
米井嘉一